KGI

KGIとはKey Goal Indicatorの略で、日本語では「重要目標指標」または「戦略的成果指標」と訳されることが多い概念です。企業が掲げる戦略の実行状況を評価するための最も重要な成果指標であり、組織全体の最終的なゴールを数値や定量的な基準で表現します。KGIは長期的なビジョンや戦略の達成度を示すもので、通常は年度の計画期間や四半期単位の評価周期に紐づけて設定されることが多いです。KGIは組織横断で共通認識を持つべき成果を示す指標であり、部門横断の取り組みを統合してその成果を測る役割を担います。具体的には売上高や利益、市場シェア、顧客維持率、顧客生涯価値といった企業の戦略的成功を象徴する成果がKGIとして設定されることが一般的です。

KGIとKPIとの関係性を理解することも重要です。KPIはKey Performance Indicatorの略で、KGIを達成するための進捗測定指標として位置づけられます。言い換えればKGIが「終着点」だとすれば、KPIはその終着点へ向かって進捗を促す「道しるべ」や「推進力」を提供する指標です。KGIは戦略の成果を評価する最終的な尺度であり、KPIはその成果を生み出す過程でどれだけうまく動いているかを示す指標です。実務ではKGIを設定したうえで、それを達成するためのKPIを複数設定し、KGIとKPIの整合性をとることで戦略の実行状況を継続的に監視します。

KGIを設定する際には、戦略やビジョンと整合させることが不可欠です。KGIはSMARTの観点、すなわち具体的で測定可能、達成時期が明確で現実的、関連性が高いという要件を満たすべきです。可能な限り定量的な値へ落とし込み、年次や期の終了時点で評価できるようにします。データの信頼性を確保するためにデータソースを明示し、データ収集の仕組みを整えます。KGIを支えるKPIは、例えば新規顧客獲得数や顧客単価、提案獲得率、リードの質といった指標を設定して、どのような行動がどの程度進捗を生み出しているかを可視化します。KGIが複数ある場合でも、戦略的な優先順位を明確にして過度に多く設定しすぎないことが重要です。これにより組織全体が同じ方向を向いて協働しやすくなります。

具体的なKGIの例としては、年末までに売上高をある一定額にする、あるいは市場シェアを一定の水準に引き上げる、純利益率を一定の水準へ改善する、顧客の継続利用率を一定の水準に高める、顧客満足度を向上させる指標を設定するといったものがあります。業種や企業の成長段階によってKGIの性質は異なり、成長期には売上高や新規顧客獲得数が主要なKGIとなる一方で、成熟企業ではキャッシュフローやROE、利益率といった財務指標が中心になることもあります。いずれの場合もKGIは戦略の「結果」を明確に示す指標として機能します。

OKR(Objectives and Key Results)とKGIの関係性も現代のマネジメント実務で重要です。OKRは組織やチームの短期的な目標と、それを達成するための具体的な成果を定義する枠組みですが、KGIはOKRの「成果を最終的に測る指標」として位置づけられることがあります。OKRのKey ResultsをKPI的に設定してKGIの達成をサポートすることで、戦略の実行状況を透明にし、関係者全員が何を達成すべきかを共通理解として共有できます。KGIとKPIを組み合わせて用いることで、戦略的成果を長期と中期の両方の視点で評価し、組織の適応力を高めることが可能になります。

KGI設定を巡る落とし穴としては、現実味を欠く高すぎる目標を設定して組織のモチベーションを損なうリスク、KGIと日常の業務指標との乖離が生じて実行が現場で機能しなくなる事態、外部環境の変動を十分に考慮せず内部の施策だけで完結しようとする誤り、KGIの数が多すぎて優先順位が曖昧になる状況などが挙げられます。これらを避けるためには、定期的な見直しとガバナンスの強化、データ品質の担保、組織内の共通理解の徹底、KGIとKPIの役割の明確化が重要です。指標そのものを厳密に追いかけるよりも、KGIを達成するための組織の行動が適切かどうかを評価することが肝心です。

結論として、KGIはビジネスの世界における戦略実行の最終成果を測る「重要な目標指標」であり、KPIと組み合わせて用いることで長期的な戦略の達成状況を定性的にも定量的にも把握できる強力なフレームワークとなります。企業の状態や戦略のフェーズに応じて適切に設計・運用することが成功の鍵となります。もし具体的な業種や組織規模が分かれば、より適切なKGIとKPIの組み立て方を、実務に即した形で一緒に検討します。

この記事は役に立ちましたか?

もし参考になりましたら、下記のボタンで教えてください。

関連用語